奈良の整理収納アドバイザー 本田一紗です。
以前、こちらの記事で、ご家族が片付けをなかなか手伝わせてくれない場合は、短時間で始めるというお話をしました。ですが、短時間ではなかなか進まないのでは…そう思った方もいるのではないでしょうか。また、手伝える時間が増えても、ご本人の一日の体力は限られています。なるべくご本人を疲れさせずに作業することは重要です。本日は、作業が効率よく進み、ご本人が疲れにくいように、私がしているアシスト方法をお話したいと思います。すぐできるものばかりです。
片付け作業は複雑…でも、ご本人以外でもできることは多い
片付け作業は、動作が多く複雑です。例えば、「封筒に入っていた手紙を見て、残すことにした」場合、既に封筒が目の前にあっても、
- 封筒から手紙を出す
- 読む向きに直す
- 要不要を判断する
- 再度封筒に入れるか、クリップでまとめる等する
- 「要」のものをまとめているコーナーへ手紙を移す
となります。これがいくつもあると思うとしんどいですし、当然ながら片付けは先延ばしになりがちです。でも、要・不要の判断以外は、ご本人が承諾してくれる範囲で、手伝う側が代わりにすることができます。
効率が上がり、疲れにくくなるアシスト
そこで、ご本人が受け入れてくれる範囲で、作業の代わりをします。「自分でしたい」というご本人のお気持ちもありますし、要・不要の判断以外全てこちらでというのは難しいと思いますが、OKがもらえれば、次の3つをぜひしてみてください。
袋や箱から出す、向きを揃える
買った・贈られた・送られた時の袋や箱に入ったまま保管されていたものは多いでしょう。大きさや種類もまちまちですし、出すだけでひと手間です。封筒などはすぐでは…と思いますが、何百、何千となってくると、出し入れ合計が一つあたり10秒としても、トータルで結構な時間がかかります。(100個でも16分です…)また、要・不要の仕分けに気持ちが乗ってくると、合間に出し入れを挟むのは煩わしいものです。せっかくのご本人のモチベーションを下げないためにも、出し入れ作業は基本的に手伝う側がしてあげるとよいでしょう。
手伝う側は、ご本人がものを見るよりも少し先に袋から出し、ご本人に渡します。書類や本など、見る向きがあるものは、ご本人に見やすい向きに揃えて渡すと、さらにスムーズです。ご本人が要・不要の判断をしている間に、次の準備として、この後見てもらうものを出しておくという具合です。なお、仕分け後に再度袋等に入れる必要があるものも、準備と同様、判断の待ち時間に手伝う側で入れます。
なお、私的な手紙など、手伝う側が中身を出すのが不適切な場合もあります。そういった、中身がデリケートな可能性があるものは、もちろんご本人に出し入れしてもらってください。
「不要確定」のものは、手に取ってもらわずに不要のほうへ
ご本人が既に不要と言っているもので、同じ種類のものがいくつも出てくる場合があります。例えば、賞味期限切れの食品や、キャンペーン期間の終わったDM、販促目的で送られた年賀状等です。
これらは、「期限切れだし、不要でいいね?」等、ご本人に「不要の該当理由」を伝えて見せることはつつも、手渡しはせず、不要と確認できれば、そのまま手伝う側の手で「不要」コーナーに移すといいでしょう。ご本人の「手に取る、その後また移す」という手間を省く、ということです。「同じようなものが出てきたら、もう見せずに不要の方に移していいよ」となれば、さらに楽にできます。
もちろん、作業前から「不要確定」の時だけでなく、通常通り要・不要を決めていく場合でも、ご本人が自ら手に取るまでもなく判定できそうなら、同様に手渡し動作を省略してください。ご本人の体力を温存できます。
補足となりますが、要・不要を決めた後に、行き先ごとにものを移す作業も、できる限り手伝う側がしてあげるとよいでしょう。例えば、ご本人に「これは不要」など結果を教えてもらいながら、こちらに再度渡してもらい、こちらの手で不要コーナーに移す…といった具合です。こうすれば、ご本人は判断の合間に「えっと、不要のコーナーは…こっちだ」という思考を挟まずに済み、要・不要の判断に集中できます。片付けるご本人が分類作業が不得意で、ごみの分別もしんどくて…ということもあります。ぜひ手伝ってあげてみてください。
予備仕分けと調節
片付けは、色々なものが混ざった状態からスタートすることが多いでしょう。衣類、書類、本、消耗品、思い出品と見られる写真や手紙…こうした際は、ものを大まかな種類ごとに分ける「予備仕分け」をしてから、ご本人にお見せしていくのがおすすめです。
いろいろなものが混在している現場で、ものを出てきた順番通りに見て仕分けると、下図のように、要・不要の判断の際に見たり考えたりするポイントが頻繁に切り替わります。
このように、判断のポイントがその都度変わるのはストレスですし、すぐに疲れてしまいます。本なら本のモードで、衣類なら衣類のモードで、ある程度続けて見たいものです。
ですので、私はご本人に要・不要を判断してもらう前に、本は本、衣類は衣類など、おおまかな種類ごとにまとめる「予備仕分け」をしています。そして、ご本人による要・不要の仕分けの際に、同じ種類のものを続けて見られるよう、手渡ししていくのです。
なお、同じものが続きすぎても逆に飽きがきますし、書類など疲れやすいものもあります。これらも考えて、ご本人の様子を見ながら、適宜渡すものの種類を変えるようにしています。
ちなみに予備仕分けのタイミングですが、ご本人が要・不要の判断をされているその場で同時にしています。例えば書類など、判断に少し時間がかかるものを見ていただいている間に、私はこれからのものの予備仕分けや、袋・箱から出す作業をする…という具合です。なかなか忙しいですが、回数を重ねると慣れてきますし、ご本人との呼吸も合い、テンポよくできるようになってきます。もちろん、ものにまつわる思い出などの、「話を聴く」場面では、作業の手は完全に止めます。
疲れた…を防ぎ、次の片付けの敷居を下げる
片付けに抵抗が小さい場合でさえ、作業で「疲れた…」という印象が残ると、次の片付けまで間が空いてしまいがちです。片付けに抵抗が大きいなら尚更、疲れを軽減して次の片付けの敷居を下げたいところです。
「捨てると、自分の生きてきた証を失う気がする」などからくる抵抗は、和らげるのに時間がかかります。でも、単純に片付け動作が面倒で高くなっている抵抗は、今回ご紹介したようなアシストで、すぐに和らげることができます。ぜひ、実践してみて下さい。
本日は、作業が効率よく進み、ご本人を疲れにくくできるアシスト方法について、お話しました。当ブログでは、引き続き、ご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください