奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。
皆さんの中には、同居でない親やきょうだいの片付けを手伝う方もいらっしゃるでしょう。そして、手伝えるとき以外も、ある程度自分で片付け作業を進めてもらいたい…けれども、本人だけでは少し腰が重くなりそうだ…そんな場合もあるかと思います。本日は、片付けるご本人だけのときも、作業が始めやすくなるセッティングについて、お話します。
「とにかくハードルを下げる」方向で
片付けは手伝ってもらうと一番進みますが、手伝いたくても、そう頻繁にはできない場合も多いかと思います。片付けるご本人が体力的にも大丈夫そうで、一人で作業する際の安全面や精神面(大量のものを目前に、ひどく動揺されるなどでしたら、一人での作業は避けてください)もそう心配しなくてよい状況であれば、ご自身でもある程度進めてもらいたいところです。
ですが、片付けるご本人が、やることが多いと思うとやる気がそがれてしまったり、面倒だと感じると先延ばしにしがちで…という場合は少なくありません。そのため、ご本人が一人のときにも進めてもらうには、とにかく作業を始める際のハードルが下がるよう、セッティングすることが大切です。
以下の参考記事でも触れましたが、「面倒な準備」は、手伝いに行ったその場で一緒にしてしまい、後は、ご本人が思い立ったときにすぐ始められる…そんな状態にできれば理想的です。
ハードルを下げる工夫の例
作業を始めるハードルを下げる工夫として、例えば次のようなことができます。
片付けに使う道具をひとまとめにしておく
使いやすい収納を作る際によく使うテクニックで、「一緒(同時)に使うものはひとまとめにして、同じケースに入れる」というのがあります。例えば、下の写真のように子どもの朝の身支度で使う体温計・スキンケアグッズ・ヘアブラシ・ヘアゴムをまとめて一つのカゴに入れ、「身支度セット」にして収納したりします。使うときにそれぞれを集めて来なくて済みますし、持ち運びもできてとても便利です。
これを、片付け道具にも取り入れます。片付けるものの種類にもよりますが、
ごみ袋、付箋、マスキングテープ、マーカー、はさみ、カッターナイフ、ビニル紐、ガムテープ、ウェットティッシュ
といったものが出番が多いと思います。これらをまとめてひとつのカゴに入れた「片付けセット」を作ります。そして、片付け期間が終わるまでは、各道具はもともとの保管場所に戻すことはせず、このカゴの中を定位置にします。
この「片付けセット」を作ると、片付けの度に道具集めをしなくていいですし、作業を始めるハードルがかなり下がります。また、道具を取りに行く途中に、他のことが気になって寄り道をしてしまい…という脱線の機会も減らせます。
ラベルや箱は作っておく
要・不要の判断をした後でも、ものは行き先が分かれます。例えば、「不要」でも、「譲る」「捨てる」「売る」で分かれますし、個人情報が書かれた書類などは、廃棄前にシュレッダーにかけるので、同じ廃棄書類であっても他のものとは別に取り分けておく必要があります。
「要」のものも、例えばこまごました写真やはがきを、サイズの大きいものとは別にまとめるとか、本だけ集める等することがあります。最終的には、ものはそれぞれの使用事情を見ながらより細かく分類し、収納場所を決めていくのですが、それまで大まかな種類ごとに分けておく方が扱いやすかったり、同じようなものが複数ある際の数量調整がスムーズだったりします。作業が何日にも渡る場合や、ものの量が多い場合は特にそうです。
このような、行き先や種類で分ける作業がしやすいように、あらかじめラベル代わりの札や、それを貼った一時保管箱を用意してあげると親切です。
ラベルと言っても、ご本人も見やすい大きさの紙に、マーカーで手書きしたものをテープで貼るので充分です。箱も、余っているダンボールで大丈夫です(もちろん、箱ではなく壁や床に貼る方が進めやすい場合もあるかと思いますので、そこは状況に合わせてアレンジしてください)。すぐには外に出せないものが何箱かに渡りそうなときは、予備のラベルや箱も作っておきます。「また作らないと…面倒だ…」による先伸ばしだけでなく、作業中の中断、ストレスも減らせます。
作業場所の環境を整える
ご本人がしんどくないように、作業場所を整えるのも効果があります。例えば、床に座って仕分け作業をされるのであれば、座布団を持ってきて設置したりします。また、作業時にいすや台を使うならば、わざわざ運んでこなくても済むように、先に作業場所に移動させておきます。
ちょっとしたことですが、ご本人にとっては、ただでさえ億劫な片付け作業です。「床が堅い」「いすを取りに行くのが面倒」も、片付け作業を遅らせる力は充分持ち得ます。「座布団が敷いてあるし、座り心地の良さそうな床だ」「持って来なくても、いすはもうスタンバイしている」等、体の負担を減らすセッティングで、ぜひご本人の背中を押してあげてください。
ご本人に合わせて…
もちろん、この他にもできることはまだまだあるでしょう。今回は広く使える例を紹介しましたが、どんなことを負担に感じやすいか、どんな状況ならば進みやすいか(どんな場合に先延ばししやすいか)は、人によって違う部分もあります。
また、要・不要の仕分け作業をしてもらう前提でお話しましたが、ご本人は仕分けは嫌で、不要品の売却を進めたり、収納家具の採寸をするのは好きだということもあります。そんな場合は、お一人の際はご本人が乗り気なところを進めてもらうのもありです。ぜひ、ご本人に聴いてみたり、ご本人の普段の様子も思い出しながら、片付けに取り組みやすくなる工夫をしてみてください。
本日は、片付けるご本人だけのときも、片付け作業が始めやすくなるセッティングについてお話しました。当ブログでは、引き続きご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。