奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。
小さいし、そこまでかさばらないけれど、手放してもよさそうに見える。片付ける本人は、「これぐらい、残しても大したスペースはとらないし」と、手放すことには消極的だ…本日は、こうした「小さいもの」の扱い方について、お話したいと思います。
対処に迷う「小さいもの」
既に数が充分あるボタン、あまり行かないお店のポイントカード、書類に付いていた送り状…
一つ一つのスペースは大きくないし、今後使うかと言われると、そうでもなさそうだけれど、本人はなんとなく手放したがらない…手放すのを勧めると、「これぐらい大したスペースはとらないし、残してもいいのでは」と言う…片付けでは、そんな「小さいもの」によく出会います。
そして、これら「小さいもの」をめぐり、手伝う側も、次の2つの気持ちの間で揺れることがあります。
A:
確かに大きさはそこまでないし、本人の気持ちも尊重してあげたい…そのまま残す、でいいんじゃないかな…
B:
でも、ちりも積もればだし、ここで手放すのを徹底しないと、残すものがどんどん増えてしまう気がする…
どちらも、それなりに正しいように思えます。
ですが、私は基本的には B の、積極的に手放してもらう路線で進めることが多いです( A の方がいい場合については、後述します)。小さいものを手放すと、今後の片付けに大きく影響してきます。
次章で、その効果を詳しく見ていきます。
小さいものを手放す効果
「これぐらい、残してもいいのでは」と思えてしまう小さいもの。それらを手放すと、主に次のような効果があります。
- 単純な「ちりも積もれば…」でものが減る
- 片付けでの発想の転換を促す
- 「手放すと心配」を克服する練習になる
以下、詳しく解説していきます。
単純な「ちりも積もれば…」でものが減る
これは言葉通りです。まあいいか…と思って残していた書類などを、やっぱり捨てようと集めると、かなりの量になったりします。ファイル1冊分の厚みなど、すぐに達してしまいます。
「小さいもの」の体積が1割もなくても、ものの総量が多ければ普通にダンボール何箱分にもなります。要・不要の仕分けが一通り終わってから、それほどの体積を改めて減らすのはなかなかしんどいところがあります。
大切なものから手放す分を選ぶのは大変ですし、ここまで仕分けたものを再度見返して「小さいもの」を捨てていくというのも、とくに書類等ではなかなかの手間です(もちろん、その頃には、片付け初期と比べると、ご本人の判断のスピードもだいぶ上がっていますが…)。
仕分けが一通り終わってから、さらにものを減らす調整は、小さいものを手放すよう努めていた場合にも発生します。でも、減らす必要量は小さくなりますし、ものが減っている分、見返すのも楽です。
片付けでの発想の転換を促す
私は、個人的には、この効果が最も重要と思っています。
「これぐらい大したことない」ものを手放すのは、
「残せるものは残す」
から、
「手放せるものは手放す」
へと発想を大きく転換することでもあります。これはものすごいことです。ベースが、「溜めよう」から「手放そう」になるわけです。大げさに言えば、180度向きが変わっています。
もちろん、手放せないものは今まで通り残します。けれども、そうではない、重要度が低いものは持たないようにする…
このように、「小さいもの」を手放す方針へシフトするというのは、片付けのしやすい、ものの持ち方を実践していくことでもあります。これが身に付き、習慣になると、片付け後に以前と同じ状況に逆戻りするのも、防ぎやすくなります。
まずは、「残せれるなら残そうというぐらいで、どっちでもいい」「絶対捨てた方がいいっていうなら、別に捨ててもいい」とご本人が言うものだけでいいので、スタートしてみてください。
「手放すと心配」を克服する練習になる
「これぐらい残してもいいのでは」と思うものは、手放すのに何かひっかかりがある場合が多いかと思います。例えば、引っ越し前に住んでいた町のお店のポイントカードなど、今後の使用可能性は明らかに低いけれど、「もしも」を考えてとっておいてしまう…などです。
この例を見ると、確かに、もの自体の体積は小さいですし、スペースを作るという観点では、手放す意義は小さいでしょう。ですが、その他の視点から見て重要性なポイントがあります。
それは、気持ちにひっかかるものを手放してみて、
「手放す前は心配だったけど、結局大丈夫だった」
という実感を得るための絶好の機会になる、ということです。その効果は、当然、他のものの片付けにも強く影響してきます。手放す練習としての意義は大きいです。
必要になることはほぼないけど、なんとなく、手放すと心配だからとっておく…「小さいもの」はそんなものの宝庫であり、克服する格好の材料でもあります。まずは、気持ちの上では手放すのに少しとまどいがあっても、頭で考えると「これぐらい、後で必要になってもどうにかなる」と思えるものがあれば、そこからトライしてもらってください。
手放すのをあまり勧めない方がいい場合
上述の効果のため、私は基本的には小さいものでも手放してもらう方向で進めています。
ただし、ご本人が片付けを始めたばかりで、手放すことへの抵抗が大きく、手伝うこちらとも信頼関係が築けていない場合は、少し状況は変わります。
「ペースを尊重してもらえる」と感じてもらうこと、片付け作業を続けてもらえることが最優先です。「小さいものを手放していくと後が楽」ということは、情報として耳に入れていただきますが、実際に目の前のものを手放すことは、勧めても控えめにします(手放す準備として、まずは情報として知ってもらうということについては、以下の参考記事で詳しく解説しています)。
自信を持って「手放す価値はある」と伝えて
ここまで見てきたように、「小さいもの」は、その大きさからは大したことがないように見えても、今後の片付けには大きく影響します。
手伝っている際に、「これぐらい、残しても大したことない」とご本人がおっしゃっても、自信をもって「ここで頑張って手放す価値はあるよ」と、手放す方向で促してみてください。そして、ご本人が手放してくれたら、できる範囲で結構ですので、協力にお礼を言い、これで片付けが進むと伝えてください。
本日は、「大したスペースはとらないから」と残されがちな「小さいもの」の扱い方について、お話しました。当ブログでは、引き続き、親や夫といったご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。