ものを捨てられない家族に、イライラしないために…知っておきたい片付けの「実際」

奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。

家族がなかなかものを捨てられないのを見て、イライラしてしまう…片付けを手伝う中では、よくある場面かと思います。本日は、そんなイライラを防ぐために知っておきたい、片付けの「実際」について、お話したいと思います。

目次

片付けの「実際」を知ることは、イライラしないための準備になる

  • そんなにたくさん残しても使わないものなのに、減らすことを聞き入れてくれない…
  • 売れないものなのに、売ることにこだわって捨ててくれない…

片付けを手伝っていると、こうした状況はよくあります。

ついイライラして、片付けるご本人と喧嘩になってしまった…という方もいるのではないでしょうか。そして、手伝う側が精神的に疲れてしまう、ということもあります。

「こうしてほしい」「こうするべきだ」というこちらの期待が外れると、どうしてもイライラしやすくなります。

でも、逆に

ご本人に多くを望まず、期待を現実的なラインにとどめておく

ことができれば、イライラの大部分を避けることができます。

そこで今回は、ご本人がものを捨てられない場合の、片付けの「実際」について、お話したいと思います。

同じ「捨てられない、進まない」状況でも、あらかじめ「片付けはこんなもの」と知っておくだけで違います。知ることが、期待値を現実に合わせる「心の準備」になり、イライラを減らすことができます。

知っておきたい、片付けの「実際」

イライラを防ぐために知っておきたい、片付けの「実際」を4つ紹介します。

  • 理屈・論理の正しさで説得するのは無理がある
  • 現実の受け入れは時間がかかる
  • その場で捨てる決断をしてもらうのは、難しい
  • 思い出話を聴くのは、時間の無駄ではない

これらを知っておくことが、イライラしないための準備になります。

なお、いずれも「片付けるご本人が、なかなかものを捨てられない」場合によくあるシチュエーションですが、全てのケースでこうとは限りません。ご本人の個性に左右される部分もあります。それはご承知おきください。

それでは、以下、順に解説していきます。

理屈・論理の正しさで説得するのは無理がある

ものを残すかどうか迷った際、感情からというよりも、頭で考えて判断が進む場面は、よくあります。例えば、次のような具合です。

  • 5年間存在を忘れてて、同じようなものも買わなかったし…いらないかな
  • もしまた必要になっても、歩いて3分のスーパーで買えるし…
  • 1つ使い切るのに半年ぐらい…3年で劣化するものだし…20個もいらないな

でも、片付けるご本人が、

  • ものを捨てると、自分の生きてきた証がなくなるように感じる…
  • 量は充分あるが、それでもストックを減らすのは心配だ…

のように、手放す際の不安が強い場合があります。

この場合は、例えば

  • それを捨てても、今までの自分の経験や成果は失われない
  • ストックも、普段使う量から計算したら、既に一生分以上ある

のように、理屈で説得しようとしても、うまくいかないことが多いです。

心配する根拠がない、感じなくていい不安だとしても、その力が大きいうちは、理屈や論理で動かすのは無理があります。

「論理的に正しい」ことをひたすら訴えても進まず、ご本人もこちらも疲れるだけだった…となりがちです。

そのため、この段階では「これ(問題のもの)はスペースもとるし、早く手放してほしいな…」と思っても、

論理をもって説得するのは、見送る

のがおすすめです。そして、捨てる不安がずっと少ないものを探します。その方が、うまくいきます。

なお、手放すと後悔しそうで捨てられないときの進め方(捨てる不安が少ないものから)は、以下の記事で詳しく書いています。よければご参照ください。

現実の受け入れは時間がかかる

片付けでは、認めたくない現実に直面する場面が多くあります。

  • 誰かに譲りたいけれど、喜んでもらってくれる人はいなさそうだ…
  • 売りたいけれど、需要がなくて売れないものだった…
  • お得だと思って買い集めていたけど、実は不要な買い物だった…
  • 自分は面倒がりだし、売ったり譲ったりしようとすると、いつまでも進まない…

こうした事実の受け入れは大変で、受け入れられるまでの葛藤も大きいです。当然、「捨てよう」と判断できるまでは、時間がかかります。

すぐに現実に合わせて「捨てる」のは、まず難しいと思った方がいいです。ご本人が、「これは売れない」などの事実を知ったなら、あとはその場で捨てる説得までしなくて構いません。

少し日を空けてから(1週間ほどはとってください)、

「こないだのあれ(捨てたくないけど、捨てるしかなさそうなもの)、どうしようか…?」

と、もう一度聞いてみます。

意外と「ああ、あれ、売れなさそうだし…今度の廃品回収に出すことにする」など、ご本人が自分で進んでいることもあります。時間の力を借りて、タイミングを待つのが得策です。

その場で捨てる決断をしてもらうのは、難しい

前項の現実の受け入れで時間がかかるのと似ていますが、手放すこと自体も、受け入れに時間がかかることは、よくあります。

「確かに使っていないし、そのうち手放そうとは思うけど…今はちょっと…」といった、

  • 手放すのが適切だし、いずれそうしようと考えている
  • でも、まだ気持ちがついていかない

という状況です。

こんな時に、今すぐ捨ててもらうことにこだわると、喧嘩になります。逆に、完全に放っておいても、先延ばしになりがちです。そのため、

「本人も納得できる(できれば、充分すぎるぐらいの)期間後に手放す」提案をする

のがおすすめです。

「そっか…じゃあ、今はやめておくことにして…例えば半年後ぐらいに、手放すのを目指すとかは、どう…?」

という具合です。

特にいただきものなどの場合、不要であっても、もらって日も浅いうちに捨てるのはちょっと…ということは多いでしょう。こうした際は、「本人が納得して決めた期間だけ、手元に置く」のも、手放すために必要なステップです。

そう割り切ると、手伝う側も気持ちが楽になります。

待っても捨てられなかったら?

もちろん、それだけ待っても実際に手放せないこともあります。けれども、その時でも、ご本人に

  • 「あの時は、これだけ経てば手放すと言ったんだっけな…」
  • 「さすがに、これだけ経っても進まないのはよくないな…」

と、「捨てられない」問題に向き合ってもらいやすくなります。

あるいは、

「これだけ経ってもやっぱり捨てる決心がつかないし…手元に残して、とことん使うことにする」

と、そのものを活用するきっかけにもなります。

思い出話を聴くのは、時間の無駄ではない

特に、長く整理していなかった場所を片付けていると、久しぶりに対面するものが多くなります。そして、それらを見たご本人が、昔の思い出を語り始めることがあります。

思い出話を聴くと片付け作業が止まりますし、時間が限られている場合は、「早く片付けの続きをして!」と、手伝う側はイライラしがちです。

ですが、確かに作業は止まるものの、思い出話を聴くことで、間接的に片付けが進む場合もあります。以前に以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご参照ください。

思い出話を聴くのも、ただの中断・脱線だと思うとしんどいですが、実はそれなりに意味のあることです。全くの無駄ということにはなりません。片付けの際はぜひ、思い出してください。

本日は、ものを捨てられない家族に、イライラしないために知っておきたいことについて、お話しました。

なお、自分達だけでは進めるのが難しい場合もあるかと思います。その際は、第三者の手を借りることも検討してみてください(私が代表を務めるアトリエめいでも、片付けのサポートをしております)。

当ブログでは、引き続き、実家の親や夫といった、ご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。

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この記事を書いたのは…

メンタルケア心理専門士、整理収納アドバイザー1級。教育機関、自治体勤務を経て、2021年にアトリエめいを開業。 カウンセリングを重視した片付けサポートに取り組む。整理収納コンペティション2022にて最優秀新人賞を受賞。奈良県大和郡山市在住。

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