奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。
本日は、手放しがたいものである「いただきもの」の片付けについて取り上げたいと思います。一口に「いただきもの」といっても様々ですが、ここでは、例えばお店の販促キャンペーンでもらった粗品や、消耗品、食べ物等ではなく、お知り合いに個人的にいただいた一点ものを想定して書きます。その前提で、お読みいただければと思います。
いただきものなら手放さない?
「いただきもの」は捨てられないものの代表格です。いただきものを手放すのは不義理と感じられてしまってできず、片付けが進まないのはよくあります。「いただきものは大切にする(≒多くの場合「手元に置いておく」)」というのは、ごく一般的な価値観といえるでしょう。
一方、私達は日常でこんな場面に出会います。
- 〇〇さんが、いただきものだけど使わないからとくれた
- 友達からもらったけど、私は着ないから親戚にあげた
- 昔お祝いでいただいたけど、使ってボロボロになったから捨てた
- 学生時代、付き合っていた人にもらったけど…捨てた
こうしたことは、皆さん心当たりがおありかと思います。「いただきものでも手放す」は、特に非常識というほどのことではないのです。
ただ、贈り主への思いやりから、大っぴらにはしない話です。表に出ない分、「いただきものでも手放す、捨てる」は、皆がしていても、常識としての力は持ちにくくなっているのではないでしょうか。
また、少し視点は変わりますが、自分が贈る側だった場合でも、贈ったものを相手が亡くなるまで持っていてほしいかと聞かれても、「そうでもない」ものが大部分と思われます。
なかなか表に出てこないことを伝える
「いただきものでも手放す」は、表には出てきにくいことです。だからこそ、片付けるご本人が「いただきものだから」という理由で身動きがとれなくなっている場合には、
実際には、みんないただきものも人にあげたり捨てたりしているし、それで不誠実と思われることはない
とはっきり伝えてあげることは大切です。
片付けるご本人が親しみを感じている方(特に片付け好きというわけではない、ごく普通の方であることが重要です)も、いただきものを譲ったり捨てたりはしてたよ、と実話を出すのは効果的です。「片付けのプロ」がいただきものを手放す必要性を訴えるよりも、はるかに…。
また、ご本人にものをあげたことがある方は、「私があげたものも、使わなくなったら、捨てたり人にあげたりしていいからね」と伝えるのもおすすめです。
「無理して手元に置き続けるのは、贈り主もきっと望んでいないから」と贈り主でない人が説得し続けるよりも、本当の贈り主の一人が「贈ったものがとっておかれることよりも、あなたが負担なく過ごしてくれる方が大切。それに、贈りものが手放されても、縁が切れるわけじゃないよ」と実際に伝える方がずっと効果がある…そう感じています。
「形見だから」…一括りの扱いから個別対応へ
いただきものの中でも、「亡くなった方からいただいたもの」は、手放すのが特にためらわれるものです。しかし、とにかくものを減らさないと部屋で生活できない、という状況では、これらもどうするか考えなくてはいけません。こうした際、私は、それがどんな状況でいただいたものかをお聴きしています。
ものをあげる側も、自分の想いを託す形見のように渡した場合もあれば、単純に「使わないし、使ってくれる人がいるならと思って」程度で渡した場合もあります。当然ながら、同じ「亡くなった方からいただいたもの」でも、ものごとに重みが違ってきます。まずはそれに気づいてもらうことが第一歩です。
ものにまつわる話を聴きながら、
「亡くなる直前に託されたんだね…とても大切なものなんだね」
「そっか、亡くなった〇〇さんの思い入れがあるものというよりは、いらないからあげるという感じだったんだね」
など、ご本人が話した状況を、言葉にして返すのは効果的です。ここから始まって、「亡くなった方からいただいたものなら、何であっても手放さない」の一括りの対応から、「ものにまつわる想いの軽重で判断する」へ進んでいくのが目標になります。
以前に以下の参考記事で、手放せなくても、今あるものの量を把握するだけでも片付けは進むと書きました。
これは、形見の場合も同じです。「〇〇さんの唯一の形見」と思っていたけれど、片付けを進めてみると、〇〇さんからいただいたものが他にもいくつも出てきた…という場合もあります。「〇〇さんからいただいたもの」全体の把握は、手放すか否かの判断の上で大きな助けになります。
「いただきもの」の片付けは大仕事
「いただきものを手放す」のは、今まで常識的だと考えていた価値観から少し外れたことをしたり、一括りでとらえていたのを個別に考える作業が伴います。今までの常識から外れるのは勇気がいることです。また、それぞれのものについて考え、自分なりの判断基準を創り上げるのも、かなりのエネルギーを使います。だからこそ、「いただきもの」の片付けは大仕事なのです。
本日は、手放しがたい「いただきもの」に対するアプローチのお話をしました。
当ブログでは、引き続きご家族の片付けを応援するための記事を載せていきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。