奈良の整理収納アドバイザー 本田一紗です。
以前の記事で、片付けを手伝わせてくれないご家族の説得についてお話しました。本日は、その続きともいえます。片付けの途中で、「やっぱり片付けはやめる」とご本人に拒絶される…それを防ぐためにできることをお話します。
手伝えるようになっても、課題はある
片付けを手伝わせてくれないご家族が、晴れて手伝っていいと言ってくれても、課題は残ります。片付け作業中のご本人の警戒はまだ強いですし、捨てるよう強く促してしまった等、接し方を誤れば「やっぱり片付けはやめる」になってしまうかもしれません。
作業中、拒絶されるのを防ぎ、次の片付けも手伝わせてもらう…せっかく始まった片付けを進めるには、何とか達成したいところです。そのためには、これまでの記事でお話してきたような「一気に進める路線はやめる」「今ここで手放すことにこだわらない」等が効果的です。でも、できることはまだあります。
「ペースを尊重してもらえる」と感じてもらうために、できること
拒絶を防ぎ、次回につなげるためには、ご本人が「ペースを尊重してもらえる」と感じることが大切です。そのために、私は次の3つのことをしています。大きく見れば、「一気に進める路線はやめる」「今ここで手放すことにこだわらない」など、これまでお話してきたものの一環といえるものもありますが、場面が具体的な分、取り組みやすいと思いますので、ここで取り上げることにしました。
思い出品は無理に手放さない方がいい、と伝える
思い出品で無理しないのは、当たり前といえば当たり前なのですが、ご本人が「こういうのも捨てなきゃいけないのかな…」と思い出品を出しながら、手伝う側に話しかけてくれることがあります。その時には、
「無理して手放さないほうがいいです」
と言ってあげるのがおすすめです。目の前のものを減らすよりも、気持ちを優先してもらえた…そんな場面を実際に経験してもらうと、今後の安心につながります。
ものにまつわる話が始まったら、作業の手を止めて聴く
作業中、出てきたものにまつわる思い出や、ものを手に入れた時のエピソードの話が始まることがあります。そんな時は、いったん作業の手を止めて聴きます。
途中でこうして語り出される話は、ご本人の大切な何かに関わることが多いように思います。例えば、
- 子ども時代など、自分の原点ともいえる部分
- 今まで成してきた中で、誇りに思っていること
- 自分に大きな影響を与えた人のこと
…
手を止めて聴くのは、ご本人、そしてその大切な何かを尊重することでもあります。効率よく進む手伝い方について書いた前回の記事で、思い出話などが始まれば作業の手を止めて聴く、と書きましたが、もう少し補足説明をと思い、今回書かせていただきました。
今は仕分けたくないものは無理に進めない
今日を逃すと片付けの機会はないからと焦らずに、ご本人の気が乗らないものはまた今度、ぐらいに構えた方が、拒絶に遭いにくいです。
ご本人の片付けへのモチベーションが充分に上がった後は、「後回しにしがちなことは、今一緒にしましょう」と、手伝っているその時に仕分けを促します。
でも、片付けへの抵抗が大きく、手伝う側との信頼関係を築くのもこれからという場合は、ご本人のペースの尊重を示すために、「今は仕分けたくない」という気持ちを優先することが度々あります。
拒絶まではなくても…拒否的な態度をとられた時に
こうした努力をしていても、拒絶とは言わないまでも拒否的な態度をとられてしまうことはあります。
手伝いを承諾してくれた後も、ご本人は複雑です。「片付けよう」「片付けたくない」の両方の気持ちがありますし、せっかく手伝いに来たのに素っ気ない…あまり目を合わせてくれない…そんなこともあります。
つらい場面ですが、そんな時は、片付けようという気持ちからいったん離れて、
「今は片付けはしたくない、そんな気持ちなのかな…?」
とご本人に聴いてみると、状況がよくなることがあります。片付けよりも、ご本人の現在の状態を優先したやりとりの一つですが、やりたくないという意思表示を受ける、それも覚悟しているところがあります。そのため、ご本人は「自分の今の気持ちを尊重してもらえた」と感じてくれます。
でも、ここまでするのは勇気が要りますし、第三者でないと難しいとも思います。
先ほどの3つもそうですが、できる範囲で取り組み、自分たちだけでは大変そうだと感じたら、第三者のサポートを受けるのも検討してみてください(私が代表を務めるアトリエめいでも、サポートをしております)。
本日は、片付けるご本人から拒絶を防ぐためにできることについて、補足的なお話をしました。当ブログでは、引き続き、親や夫といったご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。