奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。
片付けでは、ものを今ある収納家具の中に収まるようにできればベストです。でも、片付けるご本人が、思うように捨てられないこともあります。本日は、そうした際の対応と、それらを行う際のポイントについて、お話したいと思います。
「今ある収納に収まる量まで減らす」のが難しいとき
片付けでは、「ものは今ある収納に収まる量まで減らす」はよく言われることです。そして、やはり基本はそこを目指していきます。
でも、特に手紙類やいただきもの、思い出品などが多い場合、それが難しいこともあります。
また、趣味で集めたものが多く、当面は手放したくない、でも今の部屋の収納に収まらない…というケースもあります。
どうしても捨てられず、収納場所が足りないときの対応とポイント
現行の収納家具に収まる量まで、ものを減らすのは、片付けるご本人も納得していないし、厳しい…そんな場合は、次のことを考えます(なお、部屋に収納が極端に少なく、必需品も収まらないという際もこのようにします)。
- 新しく収納家具・収納用品を設置する
- 別の部屋・スペースに保管場所を設ける
ただ、これらも気を付けるべきところがあります。
今後の使いやすさの確保もありますし、
「ものが増えたら、収納を増やすか、他の部屋に持っていけばいい」
が基本になると、片付け前と変わらなくなってしまいます。
片付けるご本人に寄り添いつつ、片付け前の「当たり前」も変えていく…
こうしたことを念頭に、以下、それぞれをする際に気を付けたいポイントを解説していきます。
部屋に新しく収納家具・収納用品を設置する
安易に行うのは避けたいですが、収めたいものが部屋でよく使うものならば、該当の部屋に新しく収納家具・収納用品を置くことも選択肢です。
なお、次のことがポイントとなります。
- 前提:通路や窓はふさがない
- 機能的な収納家具・収納用品にする
- 今、家にあるものから探す
それぞれ、説明していきます。
前提:通路や窓はふさがない
安全性や利便性のためにも、収納家具は基本的に通路や窓をふさがない形で設置してください。押入やクロゼットへのアクセスを不便にするかたちでの設置も避けます。
これらが難しい場合は、後の「別の部屋・スペースに保管場所を設ける」での対処を検討してください。
機能的な収納家具・収納用品にする
それなりにまとまった量のものを収める必要があり、やむを得ず収納用品を増やして対処するならば、スチールラックや、スタッキングできる引き出しなど、
「2段以上で使える」
機能的な収納用品にしてください。
そして、ものの量の新しい上限は、その収納用品も含めた「収納家具に納まる量」にします。
今までは、
ものが増えると、とりあえずインナーボックスや、カゴといった入れものを買ってきて、ものをそこに入れて床置きしていた…
そんな場合もあるかと思います。
もちろん、床置きのカゴ類があっても、
「脱いだ衣類の一時入れ用として、部屋に1つ置いている」
など、役割と数が固まっていれば大丈夫ですし、ありです。
でも、ものが収納家具に収まらないから、カゴに入れて床置き、はもったいない使い方です。一段しか置けないと、空間が活用できず、足の踏み場が減ってしまいます。
同じ床面積でも、例えば棚板が4枚のスチールラックなら、
- 床置きだけのときの4倍入る(もちろん、ものによりますが)
- その中に引き出しを入れて使えば、さらに容量が増える
畳1畳分だったのを、畳1/4分以下にできるのは、大きいです。ゆったり座るスペースが確保できます。
「カゴに入れて床置き」方式は、空間に無駄が出てしまう他にも、こんなデメリットがあります。
- 数を手軽に増やしやすい分、避けて歩く不便や負担が大きくなりやすい
- 「床置きが標準」になってしまい、カゴ以外のものが増えた際も、ブレーキがかかりにくくなる
なお、床置きが普通になることのデメリットは、以前に以下の記事でも触れましたので、よかったらご参照ください。
収納用品を増やさずに対応できるなら、やはりそれが一番です。
でも、それがどうしても難しいならば、カゴで床置き…ではなく、機能がしっかりした収納用品を使ってもらうようにしてください。そして、この機会に「ものは増やしても、ここに入る量まで」という枠を固めてしまってください。
今、家にあるものから探す
部屋に収納家具・収納用品を入れる場合、新しく買うことは最初は考えず、まずは家の他の部屋で余っているものを有効活用してください。
特に、今までものが増える度に収納用品を買ってそこに収めていた…という場合は、家全体でものを見直し、減らしていくと、それに伴って不要な収納棚、衣装ケースなどがかなりの数で出てきます。(棚の中で小物収納に使える空き箱や紙袋も、ストックが多かったりします。)
これらのうち、前項で書いたような棚や、重ねて使える引き出し式ケースなどを活用してください。
もちろん、全てが使いやすいとは限りません。「仮のもの」「お試し、リハーサル」として使ってください。使いにくさが判明して、新しいものを購入する場合は、気になる点が解消されたものを選ぶ、という方向で考えてください。
別の部屋・スペースに保管場所を設ける
通路をふさぐなどの理由で、同じ部屋に収納家具を置くのが難しい場合は、ものを他の部屋や場所に収めることを考えます。
部屋で使うものでも、季節ものなど、使用や入れ替えの頻度が低いものであれば、廊下や他部屋の収納に収めるのはありです(ただし、ご家族に不便をかけない範囲となります)。
この場合に大変なのが、
同じ種類のものでも、収める場所が分散してしまう
という場合です。というのも、
どちらにしまうか、あるいはどちらにあるかが分からなくなる
ため、使用時に2か所から探すことになったり、その種類のものが新しく増えた際に、どちらに入れるかがあいまいで、気が付くと保留のまま溜まってしまい…ということにもなります。
これを避けるために、次のことをしてみてください。
「片付ける本人が直感的に区別しやすい分類」で分ける
同じ種類のものをいくつかの場所に分散して保管する場合、直感的にわかりやすい分類で分けて、それぞれの保管場所を決めます。
例えば、本であれば次のような分類で分けることができます。
- 文庫本
- 雑誌
- 図鑑
- 辞書
- ある特定の分野・著者の本やシリーズ
…
もちろん、複数の分類グループに属するものが出ることはあります。
迷わない分類が作れて、それに沿っていけるならベストですが、収納スペースとの兼ね合いから、どうしても「文庫本のうちいくつかは他の部屋に移さないと…」といった調整が必要なことがあります。
その場合は、例えば
本人が好きな作家である、〇〇△△さんが書いた本
など、ご本人にとってわかりやすい分類を作り、採用してください。
なお、わかりやすい区分でも、各収納場所にはきちんとラベルを貼り、そこに収めるものを文字でも確認できるようにしてください。
印や番号で管理する
前項のような「直感的な区別」が難しい、あるいは、分類を細かくしても、ものの数が多く、どうしても保管場所が複数にわたる場合は、
印や番号をつけて管理する
のも一つです。
印は、例えば本であれば、保管場所ごとに色を変えた
- マスキングテープ
- 丸シール
などを、印として背表紙に貼ると、戻す場所に迷わなくなります(それでも、探す際や剥がす際の手間もあるので、やはり分類で場所を分けられれば一番ですが…)。
番号での管理は、例えば、
各専用箱に入ったコレクション品を多数保管する
といった場合に使うことがあります。
手間にはなりますが、品物のリストを作り、番号をふって、保管場所を割り当てます。ものの出し入れの際は、このリストを参照しながら行ってもらいます。もちろん、各専用箱の外側にも、振った番号のタグやラベルを付けます。
この方法は、主にリストを使ってものの場所を確認するので、しょっちゅう出し入れするものには不向きです。でも、例えば押入の奥や、蓋つきのケース内で箱を重ねてしまうなど、「見えない」場所での保管に便利です。
本日は、ものを捨てられず、収納場所が足りないときの次善の策と、それをする際のポイントについて、お話しました。
当ブログでは、引き続き、実家の親や夫といった、ご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。