服が捨てられない、手放せないときの片付けの進め方

奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。

片付けるご本人が、着ていない服でもなかなか捨てられない、手放せない…ということがあります。本日は、こうした際に最初にしたいことと、手放せない理由別に、片付けを進めるアプローチについてもお話したいと思います。

目次

着ていないけど手放せない…そんな時に最初にしたいこと

以前に以下の記事で、服は体積も大きく、手放す・残すの判断もしやすいので、片付けの初期にはおすすめと書きました。

ですが、片付けるご本人が、今は着ていない服でも手放しがたいという場合があります。

その場合は、まずは次のことをしてみます。

  • 傷み具合、今でも着られるデザインかをチェック
  • 実際に試着してもらう

それでは、それぞれ解説していきます。

なお、今回は実用品としての服に焦点をあてています。「着ていなくても、思い出があるから残したい」という服は、服というより思い出品として扱うのがふさわしいので、今回は対象外と思っていただければと思います。

傷み具合、今でも着られるデザインかをチェック

ご本人と一緒に、服の劣化具合を確認します。全体がくたびれている他にも、破れや黄ばみは意外とあります。気になる箇所があれば、

「ここが傷んでるし、外出で着ていくのはしんどいんじゃないかと思うんだけど…どうかな?」

「見た目が大分くたびれてるし、もう役目は果たした服だと思うんだけど…どうかな?」

という具合で、ご本人に聞いてみます。

「ボロボロだし捨てたら?」と直球で勧めるよりも数歩下がって、

  • その状態の服を純粋にどう思うかを(ご本人が傷つかないよう言葉を選びながら)伝える
  • あとはご本人に判断を委ねるかたちで尋ねる

のがポイントです。

シミ抜きや補修の手間をかけても残したいということであれば、この機会に一緒に進めてあげてください。

服のデザインが古いという場合も、ご本人がそのデザインを特別気に入っているわけでもなさそうなら、同じ具合で

「ちょっとデザインが古いと思うんだけど…どうかな?」

と尋ねてみてください。

実際に試着してもらう

傷みやデザインの古さを確認後も判断がつかない場合は、実際に試着してもらってみてください。

サイズが若い頃から変わっていることは多いですし、サイズの問題はなくても、色柄が似合わなくなっていることは多いです。

なお、若い頃に比べてサイズアップしてしまったとか、若者向けのものを着るのが厳しくなるのは「普通のこと」として、ご本人が恥ずかしく思わずに済む雰囲気を出してあげてください。

「私も、昔の服は入らなくなっちゃって…」

「着れることは着れたけど、鏡を見ると、若い人向けでちょっとしんどいなって感じだったし、手放したわ…」

など、ご自身の体験談を出してくると、ご本人もホッとしてくれますし、手放す判断を促せます。

その上で、特に外出用の服なら、

  • それを着て人に会おうと思えるか?
  • どこか気になってしまったり、気持ちの上でしんどくならないか?

を考えてもらってください。

それでも手放せない…そんなときの理由別の進め方

前章のように試着して、「全然問題なし。むしろ着れることがわかったから、これからどんどん着よう」となれば、喜ばしいことです。

でも、試着してしんどそうなのに、手放せない場合もあります。例えば、次のような理由から、捨てられないことがあります。

  • 「(着心地が悪そうな服を)ちゃんと着るから」
  • ダイエットがうまくいったら着るから」
  • 「また流行るかも」「今、似たのが流行ってるし」
  • 高かったし…」
  • 着られないけど、充分に使わないで捨てるのは気が引ける…

こうした場合にどう進めていくか、それぞれ解説します。

「(着心地が悪そうな服を)ちゃんと着るから」

着なくなっていた服には、やはりそれなりの原因があります。よくよく聴いてみると、締め付けられるなど、どこかに無理、着心地の悪さがあってという場合が多いです。

とはいえ、着心地が悪いから着なくなっていたけど、だからと言ってそれを理由に捨てるのはよくないこと…とご本人が躊躇していることがあります。

こうした際は、

「着心地が悪いのは我慢しないで。手放していいんだよ」

と伝えてあげることが大切です。

片付けの初めの段階では、ご本人が自分の都合で捨てるのを「当然」と思えないことも多いですし、すぐに捨ててもらうのは難しかったりします。そこで、まずは情報として、「使うのがしんどいものは、捨ててもいいんだよ」と伝え、受け入れてもらえる下地を作っていきます。今すぐ捨ててもらうことにこだわる必要はありません。

ぜひ、手伝う皆さん側の実例も話してあげてください。

私もこんなものを買ったけど、結局こういうところが使いにくくて、捨てたことがあるよ…

など、

買い物の失敗も、捨てた経験も誰でもあることで、特別責められるようなことをしたと思わなくて大丈夫

とわかると、ご本人の負担は減ります。

「ダイエットがうまくいったら着るから」

この場合については、以下の記事で詳しく書かせていただきましたので、そちらを参照いただけましたら幸いです。

簡単にまとめますと、

  • ダイエット成功の可能性は否定しない
  • ダイエットが成功したと仮定して、その時着たい服を選んでもらう

ようにします。

「また流行るかも」「今、似たのが流行ってるし」

「今またこういうのが流行ってるし、着られるんじゃないか」なら、実際に生活の中で着てみてもらってください。

昔と同じものが流行ったと思っても、やはり違いはあります。「今、流行りのもの」の代役として着てみると、どこか違和感があったりします。

「このコート、上半身のフォルムは今のと似てるけど、丈の長さがだいぶ違うな…」
「肩が、今のよりだいぶ強調される感じ…」
「ここの柄が、今はあまり見かけないものだし…古く見えるかも」

活用したくても、無理に着ようとすると、やはりしんどいものがあります。

それに、ご本人が買い物好きな場合、新しく買う楽しさを我慢して、昔のものを使う…というのも、実際にするとなると、つらいです。

「確かに、似たものがまた流行るかもしれないけど、やっぱりどこか違っていたりするし、その時本当に着るのはしんどいんじゃないかな…」

「ここで頑張って減らして、新しい服も入る状態にしておく方が、買う楽しみもできるし、気持ちの上で楽だと思うんだけど…どうかな?」

と、伝えてみてください。

「高かったし…」

この場合は、以下の記事で詳しく書いていますので、そちらをご参照ください。

「着られないけど、充分に使わないで捨てるのは気が引ける…」

この場合は、なるべく「使われた、活用された」とご本人が思えるかたちでの手放し方を考えます。例えば、次の選択肢があります。

  • 譲れそうな方がいるなら、譲る
  • 買取可のものなら、売却
  • 送料がかかってもいいなら、寄付
  • ウエスにして掃除に使う(片付けではウエスがあると便利なので、くたびれた衣類もウエスにするのがおすすめです)
  • 資源ごみとして処分できる地域なら、それだけでも立派に活用されると伝える

これらのうち、ご本人が納得してくれそうなものを勧めてみてください。

本日は、着ていない服でもなかなか捨てられない、手放せないときの片付け方法について、お話しました。

なお、自分達だけでは進めるのが難しい場合もあるかと思います。その際は、第三者の手を借りることも検討してみてください(私が代表を務めるアトリエめいでも、片付けのサポートをしております)。

当ブログでは、引き続き、実家の親や夫といった、ご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。

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この記事を書いたのは…

メンタルケア心理専門士、整理収納アドバイザー1級。教育機関、自治体勤務を経て、2021年にアトリエめいを開業。 カウンセリングを重視した片付けサポートに取り組む。整理収納コンペティション2022にて最優秀新人賞を受賞。奈良県大和郡山市在住。

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