奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。
一気に手放せるものもある一方で、「いつか読むから」で手放せないものも多い本。本日は、読まなくても捨てられない(手放せない)本の片付けを促していく方法について、お話します。
読まなくても、捨てられない(手放せない)理由とアプローチ
以前に、片付けの初期で手放しやすいものについて書いた記事で、一部の本は手放しやすいとお話しました。でも、本の種類によっては、片付けるご本人が手放しがたい場合もあります。
「今後読まないと思われる」本なのに、手放せないのはなぜでしょうか?例えば、次の理由が挙げられます。
- お金を出して買ったのにもったいない
- 保存しておくべき、貴重な資料かもしれないから
- いつか読むつもりだから
以下、順に見ていきます。
なお、「手放せるけど、捨てるのが忍びない」場合の進め方は、以下の記事をご参照ください。
お金を出して買ったのにもったいない
本は、一部のものを除くと、買ったとき以上の値段では買い取ってもらえないのが普通です。本自身はもう不要になっているものの、売ったり、捨てるとなると、
高かったのにもったいない…
と感じて捨てられないことはあります。
この場合のアプローチは、以下の記事をご参照ください。
保存しておくべき、貴重な資料かもしれないから
自分にとってはもう不要でも、特に学術書等の場合「保存しておかれるべき、貴重な資料なのでは?」と捨てられない場合があります。
売却で他の方に渡せればいいのですが、売却が難しく、捨てるしかない場合でも、ご本人は「誰かが保存しておかないと」と思って捨てられないこともあります。
この場合は、「本は国立国会図書館も集めている」ことを伝えます。国内で出版された本は、納本制度により国立国会図書館に納められるようになっています。(参考:国立国会図書館ウェブサイト)
納本制度以前の本かも?本当に所蔵されている?など、ご本人が不安な場合は、国立国会図書館サーチで所蔵を一緒に確認してあげてください。自分の家を資料館にする必要がないとわかれば、手放せる本が増えます。
いつか読むつもりだから
手放せない理由としては、これは大きいと思われます。
「いつか読もう」と思っていて、捨てられない…
この背後にある気持ちや、この状況にある際の片付けの進め方は、次章以降で詳しく解説していきます。
「いつか読もう」で手放せない…その背後にある気持ち
「いつか読む」から、手放せない…
片付けるご本人に詳しく話を聴いていくと、その後ろには、だいたい次の2つの気持ちがあります。
- 手放すことで、読んで勉強する機会が失われるのが嫌だ
- 手放すことで、「自分にはやる気(読んでスキルアップしようという気)がないと認める」「勉強を諦める」ようで嫌だ
- の機会が失われることについては、
- 地域の図書館にある
- 電子書籍が出ている
など、再入手が簡単であればいくぶん和らぎはします。
でも、その場合でも2.の「やる気がないと認める・勉強を諦めるようで嫌」は大きく、再入手できるからといって、すんなり手放せるとは限りません。
「しようと思いつつも、いつまでもできない自分」を受け入れ、現実に合わせたものの持ち方をしていく
のは、本に限らず、まさに片付け全体での目標といえます。これができれば、ものは使うものだけとなり、散らかりにくい部屋にできるでしょう。
ですが、他のものと比べて、本(特に、理想の自分になりたくて買った本)を手放しにくいのはよくあります。
この場合は、数ある「現実に合わせるべき所」の中でも、本は特にデリケートな箇所になっていると思われます。「もう何年も読めてないでしょ」「『いつか』が来ることはない」など指摘して減らす説得をするのは、おすすめしません。
ご本人が思っている「いつか」は本当に来るかもしれない
という前提で、接してあげてください。そして、ご本人の読もうという意欲は認めつつも、他のアプローチで、これらの本を残すかの見直しを促します。次章で、具体的な方法を解説していきます。
「いつか読もう」でそのままの本へのアプローチ
ご本人の意欲や実行力を否定することなく、「いつか読もう」と手放せない本を、見直してもらう。そのためには、問題の本について、次のことをご本人と確認していきます。
内容が古くなっていないか?
特に実用書や学術書の場合、中のデータが古いと、使えない場合も多くあります。改訂版が出ているなら、現在手元にある分は処分し、本当に必要になった際に、その時の最新版を買おう、という方向で説得してみてください。
実際に読むとなると、身体的にしんどくないか?
老眼が進む前に買った本は、今から読むとなると字が細かくてしんどい、ということもあります。ハードカバーの本も、重たくて手に取るのがつらい、ということがあります。
身体に負担がかかって読みにくい本は、
今ある分はいったん手放して、読みたくなったときには、読みやすいバージョンで再度買う
のを提案してみてください。
電子書籍版なら、スマホでも読めますし、種類によってはフォントサイズも調整できます。
電子書籍はちょっと…というアナログ派なら、文庫本でも読みづらくないなら、今ある重いハードカバーは手放して、今度買うときは文庫版、とするのもありです。
図書館で借りられないか?
ベストセラーや名著であれば、地域の図書館にも所蔵があり、借りられることが多いです。
手放した後、やっぱり読みたくなってまた買うことになれば、出費が…
とためらってしまう場合も、図書館にまず置いてある本なら、手放せます。
お住まいの地域の図書館の所蔵検索を利用し、確かめてみてください。
実際に読み始めてみる
以前、以下の記事で「そのうち使う」ものは実際に使い始めてもらう、ということを書きました。
本の場合も、
「いつか」読もうと思っているなら、もう「今」読んでしまおう
ということで、早々に読み始めてもらうのがおすすめです。
本も読んでもらえて本望でしょうし、やっぱり本当に読んでいくのはしんどいな…という場合は、手放すことに納得しやすくなります。どれか一冊でそれを実感すると、他の「いつか読もう」でそのままの本が大量にある場合も、現実に合わせて手放しやすくなります。
今後のために、今からできること
最後に、将来の片付けのためにできることをお話します。片付けるご本人が
- 「いつか読もう」で本を溜めがち
- なおかつ、捨てるのが苦手
であれば、これから新しく買う本は、できるだけ紙媒体で買わないようにすると楽です。
ご本人が納得できる範囲で、電子書籍で買うようにすれば、スペースもとりませんし、旅先でも読めます。単語検索もできるものなら、「〇〇について書かれた所は…」と、後から参照したい部分だけ探すにも便利です。
電子書籍はちょっと…というアナログ派の場合も、
- 自分の所有物にしなくてもいい
- 「常に手元にある」のでなくても構わない
- 発売してすぐ読むことにもこだわらない
なら、基本、図書館を利用するようにすれば費用もかかりませんし、将来「残すか・手放すか」で悩む必要もありません。
同じ読みたい本でも、買いたい本と、借りるのでも充分な本があります。また、買いたい本の中でも、紙の本で読みたい本、電子書籍でもいい本があります。そうした違いを認めてあげつつ、ご本人ができる範囲で、実践してもらってください。
本日は、読まないのに手放せない本の片付けの進め方について、お話しました。
当ブログでは、引き続き、実家の親や夫といった、ご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。