「捨てられないもの」はどうしたら?捨てるのを目指すか、このまま残すか

奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。

写真、日記、昔もらったプレゼント…片付けでは、「捨てられないもの」に出会います。これらを、そのまま残すか、それとも手放す方向で行くかで、悩む方は多いのではないでしょうか。本日は、こうした際の、私なりの判断基準について、お話したいと思います。

目次

残す、保留、手放す…を状況から判断する

片付けを手伝っていると、「捨てられないもの」に出会います。

写真、かつてのプレゼント、昔の趣味のグッズ、学生時代のノート…

同じ「捨てられないもの」でも、状況は様々です。私は片付けるご本人に、もう少し詳しく、お話を伺います。それから、残すのをすすめることもあれば、保留にしたり、「手放す方向で考えませんか」と促す場合もあります。

どんなものなら残し、あるいは保留にし、捨てるのを目指すか…

今回はこれについて、お話したいと思います。もちろん、私の判断基準が絶対ではありませんし、あくまで一例として、参考にしていただければと思います。

なお、

使うもの、使う予定が確実なもの

は、残すのが前提になります。ですので、今回問題にするのは、これに当てはまらない、次のようなものを想定しています。

  • 使わないけど捨てられない実用品
  • アルバム写真など、実用ではない思い出品
  • もともと実用品だが、今はその使い方はせず、思い出品に変わったもの

それでは、次章からお話していきます。

残すもの

次のようなものは、残す方向で考えます。

  • 「過去のよかった出来事」を思い出させてくれる、自信を与えてくれるなど、ご本人の感情・人生をよくしてくれている
  • ご本人が今でも愛着を感じている(精神的な支え、苦楽を共にした相棒)

例えば、

  • 学生時代に打ち込んだ部活のユニフォーム
  • 子どもが新生児だった頃のベビーウェアや、成長してからの作品
  • 表彰状

などが、あてはまることも多いのではないでしょうか。こうした思い出品は、手放しがたいものです。

とはいえ、持てる量には上限があります。部屋を完全な倉庫にして、日常生活を犠牲にするわけにもいきません。

倉庫にできる部屋がある場合も、埋まるほど入れるのではなく、一度に見渡せて、ものの在り処がわかる量に留めるのが健全です。存在を忘れずに済む分、愛情をかけられますし、ものも最大限、役割を果たしてくれます。

できるだけ、思い出品以外で手放せるものを探しますが、思い出品も減らさないと厳しいことはよくあります。そうなれば、スペースをとらないかたちで残せないかを、考えます。

すると、例えば次のような方法がとれます。

  • 大きな作品自体は手放すが、撮影して写真を残す
  • バスタオルをハンドタオルにリメイクするなど、小さくアレンジして残す
  • 表彰状の筒は手放し、本体は残すなど、本質的な部分のみ残す

丸ごと捨てなくても、完全なかたちで残すのを諦めるだけで、かなり体積は減らせます。「あることを思い出させるのが役割」であるなら、残っているのが一部分になっても、充分働いてくれます。

片付けるご本人が、完全なかたちで残したいとこだわることも多いのですが、まずは「一部だけ残すのもあり」という情報を、伝えてみてください。

ひとまず保留にし、時間を置いてもう一度考えるもの

先ほどのような愛着があるからというよりは、「手放すと悪いことが起こりそうだから」という理由で手放せない場合があります。

こうした際は、勇気を出して手放すよう働きかけることもあります(次章でお話します)。でも、次の状況であれば、ひとまずは手放さず、保留とします。

  • ご本人が、そのものを「人生の証」と思っている
  • 「人生の証」とまではいかないが、捨てると後悔しそうと思っている

順に解説します。

ご本人が、そのものを「人生の証」と思っている

ご本人が、そのものを手放すと、これまでの自分の成果が失われるとか、そのものを「生きてきた証」のように感じている場合です。

先ほどの思い出品にも、ご本人を支えてくれる要素がありましたが、こちらで取り上げているのは、愛情などのポジティブな気持ちからというよりも、不安や恐怖感など、ネガティブな気持ちから残しているものを、イメージしてください。(もちろん、はっきりした線引きは難しいところもありますが…)

こうしたものは、まずは手放すのは保留にします。まずは、しんどさが少ない他のものを捨てていきます。その中で、ご本人が

ものを手放しても、自分が今まで成したことや、人間関係は失われない

と実感できるようになると、手放すか、数を減らせるようになります。片付けの終盤に、再度トライしてみてください。

なお、ご本人が「ものを手放すと成果が失われそうで怖い」という場合には、まめに褒めてあげることで、恐怖を和らげていけます。詳しくは以下の記事をご参照ください。

「人生の証」とまではいかないが、捨てると後悔しそうと思っている

こちらも、手放せるようになる場合があるものの、克服には練習と時間が必要です。以前に以下の記事で詳しくお話しましたので、ご参照ください。

これらを捨てる練習は、まずは「失敗しても大丈夫そう」なものから、スタートします。

今回問題になっているものが、

  • 思い入れはない実用品
  • 再入手が簡単
  • 捨てても、8割以上ぐらいの確率で、再回収せずに済みそう

なら、保留にせず、捨てるのにトライしてもいいでしょう。

でも、成功確率が5割ぐらいに見える…など、これらにあてはまらない場合は、保留にします。無理に早く捨ててもらおうとせず、難易度の低いもので慣れた後に、もう一度考えてもらうのがおすすめです。

なお、「そのうち使うかも」で捨てられないものは、以下の記事でも書きましたが、実際に使っていってもらうのがおすすめです。

捨てる(手放す)方向で考えるもの

次にあてはまるものは、保留にせず、ご本人を説得して、捨てる(手放す)のを目指していきます。

  • 本当は手放したいけど、罰が当たりそう、悪いことが起こりそう
  • 使わないが、「捨てるともったいない」「売れるかも」「誰かに譲れるかも」
    …で手付かずになっていた

それぞれ、見ていきます。

本当は手放したいけど、罰が当たりそう、悪いことが起こりそう

特に人形やぬいぐるみ、亡くなった方からのいただきものに多いかと思います。

まずは、そのものにまつわる話がご本人の口から出たら、じっくり聴きます。その上で、ご本人がそのものを手放すことに罪悪感を感じているなら、

もう20年も手元に置いていたわけだし…充分大事にしてあげてると思うよ

など、

あなたは義理はしっかり果たしているよ

と言葉で伝えます。

なお、いただきものが手放せない場合は、以下の記事も参考にしてください。

そして、すぐに受け入れてもらうのは難しいこともありますが、

  • 神社やお寺でお焚き上げをしてもらう
  • 自分で、塩でお清めをし、白い紙や布で包んで捨てる

のも選択肢だと提案します。説得は始めても、「今すぐ」を迫らないのが大切です。だいぶ日数が経ってから、ご本人も納得し、自分で処分を決めてくれることもあります。

使わないが、「捨てるともったいない」…などで、手付かずになっていた

使わないし、思い入れもないけれども、

  • 捨てるともったいない
  • 売れるかも
  • 誰かに譲れるかも

…でそのままだった、というものもあります。これらも、積極的に手放す方向で進めていきます。

というのも、これらは「使いにくいけど、高かったし…」など、

自分にとっての、ものそのものの価値とは、違ったところに引っ掛かりがあって、捨てられない

状況だからです。(先ほどの、手放すと罰が当たりそうなものもそうですね。)

捨てられないとはいえ、もの自身の価値や魅力をご本人が感じなくなっている場合は、私はゆっくり手放してもらう方向で考えています。

状況別の詳しい進め方は、以下の記事もご参照ください。

本日は、捨てられないものをどうしていくか、考える際の私なりの基準について、お話しました。

なお、自分達だけでは進めるのが難しい場合もあるかと思います。その際は、第三者の手を借りることも検討してみてください(私が代表を務めるアトリエめいでも、片付けのサポートをしております)。

当ブログでは、引き続き、実家の親や夫といった、ご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。

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この記事を書いたのは…

メンタルケア心理専門士、整理収納アドバイザー1級。教育機関、自治体勤務を経て、2021年にアトリエめいを開業。 カウンセリングを重視した片付けサポートに取り組む。整理収納コンペティション2022にて最優秀新人賞を受賞。奈良県大和郡山市在住。

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