奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。
片付けが難しいものの一つに、趣味で集めたものがあります。片付けるご本人に、これらを手放してもらうのはなかなか大変です。本日は、この趣味で集めたものの片付けについて、お話したいと思います。
趣味で集めたものの片付けは難易度が高い
片付けるご本人が趣味で何かを集めている場合、手伝うご家族は、それらの片付けをどうするか、頭を抱えていることでしょう。
もちろん、子どもが生まれたなど、生活スタイルが変わったのをきっかけに、趣味活動から引退する方もいますが、収集が過去のものとなっても、思い入れは残っていて処分はできないという場合はよくあります。
また、収集が目的だったため点数も多い上、ものによっては、保管用・使う用に同じものを2つ(あるいは、趣味仲間への貸し出し用も加えて3つ)揃えていることもあります。
このように、趣味で集めたものは減らすのが難しい上に、量的にもかなりのスペースをとっていることがあり、片付けの際の難易度は高いです。
趣味で集めたものの片付けを進めるときのポイント
それでは、趣味で集めたものの片付けを進めるときのポイントを4つ、紹介します。
- 予告はしておき、ものを減らすメリットを回り道で伝えていく
- スペースを空けてもらいたい理由や、空けてほしいスペースの大きさはなるべく具体的に伝える
- 所持している量を数字にする
- 行き先を決める大変さは覚悟する
以下、詳しく解説していきます。
予告はしておき、ものを減らすメリットを回り道で伝えていく
趣味で集めたものをどのように保管したいか、どのように使っていきたいかを、最初にご本人に聴いておきます。
どこに何があるかすぐわかり、すぐ手にとれる状態というのは、数を増やしたり保管する目的がメインという方でも、大概は望んでいます。そして、その状態実現や維持のためにものを厳選する必要があることを、早い段階で伝えておきます。
具体的には、一部分でいいので出してみて、本人が存在を忘れていたものがあるかを確認します。
すっかり忘れ去られて、メンテナンスもなされず…
となっていたものがあったら、チャンスです。数が増えて奥のものがわからないしまい方になると、どうしてもこういう風に忘れてしまうものが出てくる…だから、大切にするにも、減らす必要は出てくる…と伝えておきます。
こうした予告をした上で、まずは趣味で集めたものの片付けからは一旦離れて、ご本人のこだわりが少ない場所やものの片付けから、先に進めていきます。
キッチンや洗面所のように、家族の共用場所で、なおかつ片付けによる諸々の時短や効率化の効果が大きい場所はおすすめです。が、ご本人の専有場所もありです。例えば、ご本人がCDや本は集めたがるけれども、服にはこだわりがないという場合は、ご本人のクロゼットを進めたりします。回り道ではありますが、ここから、ものを減らして片付けるメリットを実感していってもらいます。
ご本人が、ものを使う際の時短化やものの活性化といったメリットを実感し、片付いた景色にも慣れてくる頃には、趣味で集めたものの整理にも前向きになりやすくなります。
スペースを空けてもらいたい理由や、空けてほしいスペースの大きさはなるべく具体的に伝える
趣味で集めたものが、家族共用スペースにしまってあったり、本来はご本人以外の家族の専用スペースである場所に置いてあることがあります。
ご家族からすると、こうした状況は何とかしたいところですが、ご本人にとっては思い入れのある品々です。今までそれらに使っていたスペースを減らしてもらいたい場合は、もっともな理由が必要です。そのため、例えば
「〇〇(小学校に上がったお子さんの名前)のランドセルと教科書をしまっておくために、この棚にスペースが要る」
など、
「誰々の何々をここにしまわないといけないので、ここにスペースが必要だ」
というかたちで、ご本人も納得できる理由を具体的に伝えるようにします。
また、必要な空きスペース、あるいはご本人が専有できるスペースも、
「この引き出し2段は空にしてほしい」
「(目印をつけて)この棚のここからここまでを空けてくれたら、あとは使ってくれて大丈夫」
など、なるべく具体的に伝えるようにします。本人が自由に使っていいのはここまでという境界がはっきりしているとわかりやすいですし、それを超えない範囲内なら自由にできるとなると、ご本人も気が楽になります。
なお、その場ですぐ手放してもらうことにはこだわらないようにします。前項でもそうでしたが、まずは予告をし、心の準備をしてもらいます。そうすると、いよいよ手放してもらわないと…という際も、心づもりをしていた分、動いてくれやすくなりますし、けんかを避けられます。この、待っている時間というのも、手放すためには必要な時間です。
所持している量を数字にする
以前、以下の記事では、ご本人に現在の状況を認識してもらうために、「200個以上捨てたけど、後悔したものはなかった」のように数字を引き合いに出していました。
今回の、趣味で集めたものに関しても、数字を使うと、状況を客観的に捉えやすくなります。
趣味で集めたものが、集めっぱなしで未整理の場合や、ご本人が数をよく把握していない場合は、所持している総数を数えてみます。
いくら焼き物が好きでも、1点もののお湯呑みが80個はさすがに多いな…
毎日違うのを交代で使ったり飾ったりしても、1巡りに2ヶ月以上かかる…
など、改めて数字にするとかなりのインパクトがあります。
そのため、所持数の見直しがしやすくなります。また、新しいものが欲しくなった際も、購入に慎重になったり、増やしたいならその分を誰かに譲るようにするなど、買い方や持ち方について、ご本人に再考を促しやすくなります。
行き先を決める大変さは覚悟する
収集が好きという方でも、興味の対象は固定とは限りません。ものの見直しを機に、二十年前は集めていたプラモデルからもそろそろ引退しようかな、ということもあります。
ただ、それでも
そのまま捨てるのは忍びない…大切にしてくれる誰かにもらってほしい…
という思いは強かったりします。手放せるにしても、捨てるのは基本的に無理、と心づもりをするのをおすすめします。
過去の収集品でも、ご本人には思い入れがあるものです。そのためご本人は、たとえ時間がかかっても、手間の割に売却価格が小さくても(あるいはお金にならなくても)、必要としてくれる人、大事にしてくれる人のところに行かせたいと望む場合が多いです。
こうした希望を叶えつつ、外に出していくには、やはり時間と労力がかかります。これは、「きりがないから、捨ててほしい」とご本人に交渉して無理に変えようとするよりは、もう仕方がないものと割り切って、ご本人の希望に沿ってあげる方が、穏やかに進められます。不要になったとはいえ、思い入れのあるものを手放してもらうのだから、この大変さは、その代償かな…私自身はそう思っています。
本日は、趣味で集めたものの片付けのポイントについてお話しました。
当ブログでは、引き続き、実家の親や夫といった、ご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。