奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。
手紙や年賀状は、なかなか捨てられないものです。本日は、これら手紙類の片付けを手伝う際のポイントについて、お話します。また、どうしても捨てられなかった際にしたいことについても触れます。
手紙や年賀状を片付けるときのポイント
片付けるご本人が、手紙や年賀状(以下、手紙類と書きます)は捨てられない…という場合に、処分を促し、片付けを進めるためのポイントを紹介します。
- 内容によって、扱いにメリハリをつけていく
- 「捨てる自分は薄情だ」と感じないように、「捨てるのは普通」と伝える
引き続いて、詳しく解説していきます。
なお、手紙や年賀状は、広義のいただきものという性質があります。
いただきものを片付けていく際のアプローチ方法については、以前に以下の記事でお話ししました。
今回お伝えするポイントは、おおむね前記事でのアプローチを手紙類バージョンで発展的・具体的にした内容となります。
内容によって、扱いにメリハリをつけていく
今、「それぞれの内容を詳しく見る以前に、手紙類というだけで捨てられない」状況なら、まずは
「手紙類は一切捨てない」から脱する
のを目指します。
手紙や年賀状といっても、実質的にはDMでビジネス用途で送られたものや、事務的なものもあれば、手書きのメッセージが何枚も便箋に綴られたようなものもあります。ご本人の中で、これらの重みの差がはっきりしてくるよう促していきます。
まずは準備ですが、
手紙類を全部とっておくのは厳しいと思う
とご本人に伝えておいてください(もちろん、他のものを捨ててスペースを作れる見込みなら、手紙類は処分しないのもありですが…)。
「~と思う」とぼかした言い方をしていますが、これには理由があります。手紙類は、特に捨てるのに抵抗が大きいものなので、「絶対にこのどれかを捨てないといけない」と迫ると、それだけで拒絶されてしまうこともあります。
ですので、ご本人が手紙類の片付けに前向きでないうちは、断定的な言い方は避け、
「~と思う」「~かもしれない」
などの言い方を使ってオブラートに包みつつ、処分もありうる、と心の準備に入れるようにしてください。
その後は、例えば、
仕事関係の事務的な手紙と、プライベートでもらった手紙
全部印刷された年賀状と、手書きメッセージのある年賀状
など、書き手の気持ちの重みが違うように感じられるものを見せて(もちろん、事務的な文書でも、自分の過去の実績関係だからとっておきたいということもありますので、そこはご本人にとって差がつきそうなもの同士を選んで見せてください)、
「これとこれのどちらかしか残せないなら、どっちを残したい?」
と聞いてみます。こうして、順位付けを促していきます。
そのタイミングでは捨てることができなくても、まずは、優先順位の低いものだけ集めておくのでも構いません。「捨てないといけない」現実をご本人が認識し、納得できた時点で、順位の低いものから処分していきます。
「捨てる自分は薄情だ」と感じないように、「捨てるのは普通」と伝える
また、手紙類の処分は一般的なことと伝えます。例えば、年賀状の場合は、「年賀状 整理」などで検索すると、様々なサイトで一般的な保存期間も2-3年と紹介されているのを見つけることができます。それを「年賀状の処分は市民権を得ているもの、常識的なこと」として、ご本人に伝える際に活用してください。
ビジネスはがきも、この営業さんは親切にしてくれたし、捨てられない…という場合は、
「向こうも、お店のDMとして宣伝活動で送ってるわけだし、期間が過ぎたら捨てられるのも仕方ないと割り切ってるよ。大丈夫」
と伝えてあげてください。もちろん、差出人の方と友人的な付き合いもあるなど、何らかの価値が加わっている様子なら、保存もありです。そこは柔軟さをもたせます。
捨てても薄情ではないし、薄情と思われることもないとはっきり伝えられれば、ご本人は気が楽になります。
「実は私もこないだ手紙の整理をして…」
と、手伝うあなたご自身の話をしても効果的です。また、ご本人が、自分の都合で捨てるのは…と片付け全般で躊躇しがちな場合は、
「私が自分の手紙を片付けたときは、中学生のときにもらったものとかも、たわいない内容のものは捨ててしまったわ。向こうも、いつまでもとっておかれても困るだろうしね…」
など、
律儀にとっておくよりも、捨ててあげた方が思いやりというものもあるから…
とさりげなく伝えるのがおすすめです。
それでも捨てられない場合には
それでも、どうしても捨てられない…という場合は、次のことをします。
収納方法を見直す
収納方法を見直して体積を減らすこと、そして後から見返しやすくするのを考えます。
片付け前に、手紙類をポケット式のファイルに入れている方は多いのですが、ポケットからの出し入れは手間ですし、後から中身が増えたときに、整理して順番を変えるのも大変です。また、保管スペースには、ファイル自体の体積も必要になります。特に手紙類の量が膨大で、新しく受け取る機会も多い場合は、見直しをおすすめします。
年賀状は年ごとに、手紙は差出人ごとに、輪ゴムで束ねて、箱や引き出しに入れるので充分です。ポケット式のファイルに入れるよりも、体積が減って出し入れも楽です。家族からもらったメッセージカードなどは、関連するイベントの写真と一緒にアルバムに入れてしまうのもありです。これらを、片付けるご本人が受け入れてくれる範囲で実行していきます。
処分は無理でも、体積が今より減り、見返しやすくなればOKです。無理に捨てる説得をするよりは、
「処分しようかという時がきたら、すぐ処分できる」環境に整える
のを目標ラインにするのが現実的です。他の場所を片付けていくうちに、手紙類も処分できるようになる、ということはあります。
他のものを減らす
最初の方でも触れましたが、もちろん手紙類以外で部屋にあるものを減らして、収納スペースを確保してしまうのもありです。
その際は、手紙類の中で順位付けしたように、部屋にある他のものとの間でも
「どちらを残したいか」
を考えてもらいます。
- 文房具などの日用品の過剰なストック
- 図書館でも借りられる本
- しばらく使っていないけれど一応とっておかれている家電製品
などは狙い目です。
部屋全体からすれば、手紙類を整理するよりもずっと空間が増えるかもしれませんし、「手紙類を残したいから頑張って手放す」気になってくれることもあります。
気持ちがこもったものや思い入れのあるものは、それ自体を手放してもらおうとすると大変です。でも、他のものとうまく比べながらだと、自分にとってのそれぞれの価値を考え、ものの厳選を促すきっかけになります。前向きに付き合ってあげてください。
本日は、手紙や年賀状の片付けを手伝う際のポイントについて、お話しました。
当ブログでは、引き続き、実家の親や夫といった、ご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。