奈良のメンタルケア心理専門士・整理収納アドバイザーの本田一紗です。
片付けを手伝っていると、少し昔の服が出てきた。片付ける本人は着ていないが、昔の服を知人に譲るのは微妙…調べてみると、売却も難しそうだ…でも、捨てるのはどうかというと、本人は「もったいないし、捨てられない」と言う…
本日は、こうした「もったいなくて捨てられない」ものを片付けていく方法について、お話したいと思います。
不要でも「捨てられない」
片付けをしていると、現在使っておらず、実質的に不要だけれど、売却や譲渡が難しいものに出会います。通常、これらは捨てますが、それでも
- 入手時からほとんど使っていない
- それなりのお金を出して買った
という場合は、不要でも処分しにくく、進めなくなりがちです。これらを捨てるのは大変なことで、捨てる決心ができるまで、時間がかかることもあります。
「もったいなくて捨てられない」ものを片付けていく方法3つ
この「もったいなくて捨てられない」ものの片付けを進める方法を3つ紹介します。
- 充分に使ってこなかったものは、実際に使ってもらう
- 「それを捨てると、大切なものをとっておける」と説得する
- 「お金が戻ってこないのは普通」と伝えつつ、残念な気持ちも理解してあげる
以下、詳しく解説していきます。
充分に使ってこなかったものは、実際に使ってもらう
以前に「そのうち使う」で捨てられないものの片付けの記事でも触れた方法ですが、該当のものが充分に使われてこなかった場合は、実際に使ってもらうようにします。
それなりに使い、ものとしての役割を果たしてもらうと、以下の効果があります。
- 使った分、捨てる際の「もったいない」感を減らすことができる
- 使いにくいなど、自分に合わなかった場合は、使い続けるしんどさも実感できる
ですので、「捨てる」ことに納得しやすくなります。
なお、実際に使うのをすすめる際の言い方についても、ポイントをお話させていただきます。
片付けるご本人が、
「それなりに立派なものだから、使わずに綺麗な状態で保管しておこう」
という考えで、そのものをこれまで保管してきた場合があります。
その際は、「使わないことがもったいない」と説得しようと、皆さんは考えるかもしれません。
この「使わないことがもったいない」という考え方それ自体は、もっともだと思います。ただ、説得では、少し言い方を変えた方が、すぐに受け入れてもらいやすい印象です。
片付けるご本人は、自分の都合に合わせて物事をアレンジするよりも、人の誠意に応えることを大切に思う場合も多くあります。
そのため、「使わないことがもったいない」と、ご本人の都合をメインに据えて説得するよりは、
「使ってもらえる方が、これ(該当のもの)も、これを作った人も喜ぶと思う」
のように、
「もの自身や、そのものに関わる人の気持ち(ただし、明らかなものに限ります)を無駄にしないためにも、使った方がいい」
という文脈で伝える方が、効果的です。
特に、いただきものの場合は、
「贈り主は、あなたに使ってほしくて贈ったのだから、使わないでとっておくよりは、使ってあげるのがいいと思う」
と伝えてみてください。
「それを捨てると、大切なものをとっておける」と説得する
以前、以下の記事で、入れものを手放してもらう際の説得でも使いましたが、
「これ(不要なもの)を捨てれば、それ(大切なもの)を残すためのスペースができるよ」
と伝えるのも手です。
今回ですと、例えばクリーニングから帰ってきた際のハンガーなど、
同じ機能のものが既にあれば使いようがなく、売却や譲渡もできない。もしくは条件が揃わないと難しい
ものがあります。
この場合は、いかに捨てることに納得してもらうかになります。
そして、捨てる理由として、「ものを残すスペースを確保するため」というのは、捨てるのを促す点では矛盾するようですが、ご本人の
「大切なものを捨てたくない」
という希望を叶えるのを目的にしています。
ですので、パワーがあり、まだ受け入れてもらえる余地があります。
なお、「それ(不要なもの)を置いておくためのスペースがもったいない」という説得方法もあります。でも、以下の記事でも触れましたが、空き空間の価値は、わかってくれるとしても、片付けが進んでからのことが多いです。
ご本人が既に「減らせるものは減らしたい、すっきりした空間にしたい」と強く望んでいる場合は、「スペースがもったいない」でも動いてもらえます。でも、そうでなければ、最初の段階で説得に使っても、ご本人にはあまりピンと来なくて、納得してもらうのは難しいことが多い…というのが正直な感想です。
「お金が戻ってこないのは普通」と伝えつつ、残念な気持ちにも理解を示す
買取不可品だし、譲るか捨てるかだ…でも、譲れる人は思いつかない…買った時はそれなりの値段がしたし、捨てるのはもったいない…
このように、これから使わないのが確定であっても、買ったときにそれなりのお金をかけたため、捨てると損をするように感じて、躊躇してしまう場合はあります。
この場合は、
- 実例を引き合いに出しながら、その種類のもの(例えば、靴なら靴)は、買ったときに高くても、中古では売れないか、売れても低価格なのは普通、と伝える
- 同時に、自分の経験談も出しつつ、「うん…高かったのに、何だか残念な気持ちになるよね…」と、本人の気持ちに理解を示す
のがおすすめです。これらを順に見ていきます。
まず、ご本人がこの種類のもののおおよその買取価格について、ほとんど知らない場合は、まずは中古買取のサイトやフリマアプリを活用し、問題の「捨てられないもの」と同じ種類の商品を探します。
そして、
「販売価格は数千円以上でも、中古では値段がつかない(あるいは、数円~数十円)」
という実例を、いくつか知ってもらうようにしてください。
ご本人が「値段がつく」と思っていたときほど、こうした事実の受け入れには時間がかかりますが、
「中古で売るときに、ただ同然(あるいは、そもそも売れない)になって、出したお金が返ってこないのは普通」
と知ると、
「そういうものだし、仕方ない…」
と割り切れるようになるところもあります。
合わせて、手伝う皆さん自身の実際の経験、例えば
- 「服を10着以上、古着屋に持っていったけど、全部合わせても数十円だった」
- 「ダンボール2箱分の古本を買取に出したけど、百円だった」
- 「買ったときは値段もそれなりにしたブーツがあったけど、ずいぶん前のものだったから…買取不可で、結局捨てることになっちゃった…」
なども、積極的に話してあげてください。これは、問題のものと違うカテゴリのものでも構いません。
「お金を出して買った割に、安くしか買ってもらえなかった」のは私も経験したよ…その時は、やっぱり残念だったな…損したように感じても、仕方がないものだと思う
と伝えて共感してあげると、ご本人が自分の気持ちを消化していく助けになります。
あとは、ご本人が手放そうというタイミングを待ってください。「気持ちはわかる。でも~」と、一気に捨てる方向へ持っていこうとすると、ご本人は、「やっぱり、気持ちをわかってもらえない…」と感じてしまいます。
今の気持ちに共感してもらい、
「損したようでモヤモヤしてしまうのは、自分だけじゃない」
と思うと、それだけでご本人は慰められますし、前に進むのが楽になります。このように、ご本人の気持ちの消化がネックになっている際は、理屈で無理に説得しようとしない方が、ご本人も楽ですし、効果的だったりします。
本日は、「もったいなくて捨てられない」ものを片付けていく方法についてお話しました。
当ブログでは、引き続き、実家の親や夫といった、ご家族の片付けを手伝うための記事を記していきます。ご興味のある方はチェックしてみてください。